個人の実践から部署、会社全体へ展開する流れ
個人の実践から部署、会社全体へ展開する流れ

1週目。繰り返す仕事を一つ選ぶ

対象を「営業部のAI活用」のように広く決めると、何を改善したか判断しにくくなります。「週次の営業報告の下書き」のように、入力と完成形が分かる仕事から始めてください。

頻度、従来の所要時間、確認する人を先に整理します。初回は公開情報や架空の例で試せる業務を選ぶと、機密情報の扱いを決める前でも実践しやすくなります。

対象業務の例

架空の営業メモから週次報告の下書きを作る。完成形は社内の報告書式。決定事項と数字を担当者が確認する。

2週目。出力を確認して手順を直す

下書きが出たら元のメモと照合します。抜けた事項や誤った数字を直し、どこで手直しが必要だったかを残してください。修正の理由も記録すると、次にプロンプトを直す箇所が分かります。

たとえば、メモにない次の予定をAIが補った場合は「資料にない内容を加えない」と指示を追加します。その後も同じ確認点で見直し、修正時間を含めて使い続けられるかを判断します。

3週目。会社で使う条件を確認する

同僚に説明できる手順へ整理します。使うAI環境、入力してよい情報、具体的な作業、人が確認する点を一枚の業務カードにまとめてください。

上長や社内の担当者は入力条件と成果物の品質を確認します。共有してよい版を決め、確認した人と日付を残します。ツールや社内書式が変わったときの更新担当も決めておくと、運用を続けやすくなります。

4週目。別の社員が同じ手順を試す

同じ仕事をする別の社員に業務カードを渡します。本人の口頭説明がなくても進められるか、入力や確認で迷う箇所がないかを見てください。迷った箇所は手順に追記します。

最後に経営者や導入責任者へ、試した仕事、使い続けられた条件、残った課題を報告します。次に使う部署と担当者を決める場を設け、会社全体への展開を考えます。

作業時間と再利用で成果を確かめる

AIの出力が早くても、確認と修正に時間がかかれば仕事全体は短縮できません。従来の作業時間と、AIを使った作業・確認・修正の合計を比べます。次の表は計算方法を示す架空の例です。

記録する項目架空の例
従来の作業時間30分
AIを使う作業8分
確認と修正12分
1回の時間差30 − 8 − 12 = 10分

時間に加えて、同じ手順を繰り返し使えたか、別の社員も使えたかを記録します。社員の記録による時間差は推定値として扱い、品質が下がった業務は手順を見直してください。

個人の実践を部署の運用へつなげる

IPAの「DX動向2026」では、生成AIを導入・試験・検討中の企業のうち「個人で業務利用している」が63.3%、「部署の業務プロセスに組み込まれている」が11.9%でした。個人向けAIサービスの契約率を示す数字ではありません。

AMANEZUKUはこの調査を、試した手順を部署の仕事へ組み込む運用を考える材料にしています。小さな業務で確認と再利用を繰り返し、会社が使える手順を増やすことを目指します。

参考資料